④沖縄の豊富な若年労働者を活用した取り組み ~人材育成~

 沖縄県のものづくり産業を振興するためには、サポーティング産業の強化が必要不可欠であることを述べてきました。そのサポーティング産業の代表的なものが金型産業なのですが、沖縄には平成21年まで金型の製造に携わる企業は1社しかありませんでした。ですから、「沖縄で金型産業を振興する」と言い始めた頃は、「なぜ沖縄なのか?」という疑問を持つ方も多くいました。沖縄で金型産業を振興する理由、それは、若い優秀な人材が確保できるからに他なりません。

 県内の工業系教育機関からの卒業生は、毎年約3千人に上ります。しかし県内では、ものづくりに関連する企業が少ないため、県外へ活躍の場を求めるケースが多く見られます。県内で働きたいという希望があっても、その場所がないのです。

 一方、国内の金型メーカーは、その殆どが中小企業です。一般的に大学や高専からの卒業生は、就職先として大手メーカーを希望することが多く、金型メーカーでは若い優秀な人材を確保することが困難な状況が続いていました。

 このような中、沖縄県は平成21年9月に産学官の組織で構成される金型産業振興協議会を立ち上げ、同年10月から「うるま市金型人材育成事業」を始めました。事業のコンセプトは、沖縄の若い優秀な人材を金型技術者として育成し、人材確保を目指す県外金型メーカーを誘致することです。金型メーカーが立地することで、県内のサポーティング産業を強化することにも繋がります。

 平成22年4月には、沖縄県工業技術センター内に金型技術研究センターが組織化され、同年7月には素形材産業賃貸工場も建てられました。現在、金型技術研究センターでは、グローバルに活躍できる金型技術者の育成、産学官連携による研究開発、先端機器の提供といった活動を行っています。

 平成27年度までに、人材育成の活動では1年間の長期研修(初級・中級・上級)で103名、短期研修(約1週間)では延べ292名の方が研修を受けました。また素形材産業賃貸工場も、2号棟、3号棟と増設され、「サポーティング産業集積促進ゾーン」とされた近隣地域への誘致企業は15社となっています。

 長期研修の初級コースを終了した44名の内、42名が誘致企業や県内企業、あるいは今後、沖縄へ立地を予定している県外企業へ就職しています。

 これまでの取り組みで、人材育成→企業誘致→サポーティング産業の振興→県内製造業の振興、の流れが少しずつではありますが進展しています。

アクセスカウンター

 

お問い合わせ

電話:098-929-0280

FAX:098-929-0281

mail:izumikwt○pref.okinawa.lg.jp

(○は@です)